移動平均線の見方・使い方(基本と応用)

  1. ホーム > 
  2. 投資・資産運用 > 
  3. FX比較 > 
  4. コラム > 
  5. テクニカル分析を覚えよう! > 
  6. 移動平均線の見方・使い方(基本と応用)

2014年9月8日掲載

コラム

移動平均線の見方・使い方(基本と応用)

移動平均線の基本編と応用編 移動平均線とはどのようなテクニカル指標なのでしょうか?基本編と応用編に分けて、実践に役立つ移動平均線を紹介します。

テクニカル分析は大別すると「トレンド系」と「オシレーター系」の2種類

テクニカル指標は、その指標のタイプによって大きく「トレンド系」と「オシレータ系」の2つに分けることが出来ます。トレンド系は、いわゆる順張りに向いたテクニカル指標で上昇トレンド、下降トレンドに乗って売買するのに向いたテクニカル指標と言えます。いっぽうオシレータ系は、いわゆる逆張りに向いたテクニカル指標で、買われ過ぎ、売られ過ぎの時に売買するのに向いたテクニカル指標と言えます。しかし、トレンド系もオシレータ系もちょっと見方を変えることで、まったく逆の判断をすることも可能ですから、あまり順張り、逆張りといった先入観を持たず、各テクニカル指標の特性をうまく使ってその場面に合わせた使い方をする方が望ましいと言えるでしょう。

また、テクニカル指標を表示する位置によってローソク足と同じメインチャート上にオーバーレイして表示するタイプのテクニカル指標と、サブチャート上に分けて表示するタイプのテクニカル指標に分けることも出来ます。メインチャート上に表示するタイプの指標は、当然その価格に近い位置に表示されますし、サブチャート上に表示するタイプの指標はまったく異なった値(例:0〜100%の値を取るタイプの指標)で表示されます。

他にも、ひとつの時間枠にひとつの価格が対応する「時系列チャート」と時間枠が無く価格のみの動きに注目する「非時系列チャート」に分ける分類もあります。ほとんどのテクニカル指標は時系列チャートに属しますが、非時系列チャートには古典的な手法が多く、価格の動きのみを追いかけたい場合に非時系列チャートが使いやすい場合もありますので、連載の終わりの方で軽く触れる予定でいます。

テクニカル分析で最も有名な「移動平均線」

さて、今回はメインチャートに表示するトレンド系テクニカル指標で最も有名な「移動平均線」を扱います。FXでテクニカル指標の研究をする際に、最初に試してみるのは移動平均線という人が多いですし、研究を深めて自分のテクニカル指標を作るといった人でも、必ずと言っていいほど移動平均線の考え方を何らかの形で取り入れる人が多く、代表的なテクニカル指標をひとつだけあげるならば、移動平均線になるでしょう。


5日移動平均線は直近5日間の終値の平均

移動平均線とは、言葉通り一定期間の価格の平均で、平均値をひとつずつずらして計算することでローソク足の上下に曲線で表示されるテクニカル指標です。基本は終値の単純平均となりますので、終値をn期間分合計しnで割るだけで移動平均を求めることが出来ます。例として右の表をご覧ください。四本値の内、終値(Close)の5日分を合計し5で割った値が移動平均として右の5SMAという列に表示されています。赤枠で囲んだ5日間ならば赤枠で囲んだ5SMA、ピンクで囲った5日間ならばピンクで囲った5SMAが対応しています。計算自体は非常にシンプルです。

移動平均線は2本の線を組み合わせて使う

通常は短期のパラメータと長期のパラメータを組み合わせて使うことが多く、ローソク足に2本、もしくは3本の移動平均線を組み合わせたチャートは新聞等、各所で見ることが出来ます。今回は、移動平均線の基本編ということで日足チャートに2本の移動平均線を表示した典型的な移動平均線のチャートを読む練習をしましょう。次のチャートはドル円日足に5日(1週間の取引日数)と21日(1か月の取引日数)の移動平均線を表示したものとなっています。青い線が5日移動平均、赤い線が21日移動平均です。


移動平均線の傾きからトレンドの推移を推し量る

2本の移動平均線からわかることは、2本の移動平均線の方向と位置関係によって、その時点におけるトレンドと売買タイミングを知ることが出来ます

移動平均線を使った売買手法とは

いろいろな見方がありますが、ここでは基本中の基本を以下の4つにまとめてみました。

・長期移動平均線の傾きでトレンドを判断

*長期移動平均線は21日移動平均線(赤)です。画面左3分の1あたりでは、下降トレンドから大きな上昇トレンドへと変化していること、その後下降トレンドを挟み画面右半分ではほとんど方向性の無いもみあいが続いていることがわかります。

・ゴールデンクロス(GC)、デッドクロス(DC)

  1. 長期移動平均線が上向きで短期移動平均が長期移動平均を下から上へクロスする場合、買い。(ゴールデンクロス)
  2. 長期移動平均線が下向きで短期移動平均が長期移動平均を上から下へクロスする場合、売り。(デッドクロス)

*先ほどの画面左から3分の1の長期移動平均が下降から上昇に転じてすぐに、短期移動平均が長期移動平均を下から上へクロスしています。典型的なゴールデンクロスですから買いシグナルです。また、長期移動平均が下降に転じる少し前に、短期移動平均が長期移動平均を上から下へクロスする動き(デッドクロス)がありますが、この段階ではまだ長期移動平均は下向きではありません。こうした場合は、クロスしてから長期移動平均線が下向きに向きを転じるまで待った方が良いです。実際に長期移動平均線が下向きに転じてから下降トレンドが確定しています。

・移動平均線どうしが接近してクロスせずに乖離した時は、それ以前のトレンドが加速される(タッチ&ゴー)

*これはちょっとわかりにくいのですが、下に示すイメージ図をご覧ください。(a)移動平均線どうしが近づいて離れる、(b)長期移動平均線の方向が整わない段階でクロスしてすぐ元に戻すと、いった場合にはそれ以前の流れが加速することがしばしば見られます。前回のコンティニュエイションパターンで紹介した、ペナントやフラッグの形が現れる時に、移動平均線ではタッチ&ゴーの動きとなることが多いと言えます。

・移動平均線どうしの乖離(ダイバージェンス)は逆張り

*これは、どの程度の乖離をもって判断するのか慣れないと難しいことが多いため、始めの内は参考程度に留めておいたほうがよいかもしれません。先ほどのチャートでも短期移動平均線と長期移動平均線の乖離はところどころで見られますが、必ずしも逆張りが適切とは言えないケースもあります。典型的なダイバージェンスの例は下に示すイメージ図をご覧ください。


移動平均線の乖離から今後の値動きのパターンを予測

これらの中では「移動平均線の傾きでトレンドを判断する」のと「タッチ&ゴーでトレンドが継続するか否か」の2つがFXでは使いやすいパターンと言えます。

移動平均線の本数を増やしてトレンドを判断

まず、移動平均線の本数です。前回は短期線(5日)と長期線(21日)の2本の移動平均線を使って説明しましたが、本数を3本、4本と多くすることも一般的です。3本のケースでは、短期線(4日)、中期線(9日)、長期線(18日)という組み合わせが「アレンの4−9−18日手法」として有名です。移動平均線が2本の場合は、短期線と長期線の位置関係から、「買い」(上昇トレンド)と「売り」(下降トレンド)の2つの状態を示すことが出来ますが、3本に増えたことで以下のような「中立」(もみあい、トレンドが無い)という状態を示すことも出来るようになります。

買い: 4日>9日>18日と順序が揃っている状態
売り: 4日<9日<18日と順序が揃っている状態
中立: それ以外の状態

4本の場合は、短期グループ(例:5日、10日の2本の移動平均線)と長期グループ(例:20日、40日の2本の移動平均線)の2つのグループのうち、長期グループをフィルターとして考えて、短期グループが長期グループと同じ方向となった時を売買シグナルと考える方法です。

買い: 20日>40日の時に、5日>10日とゴールデンクロスとなった時
5日<10日とデッドクロスになった場合には決済(中立)
売り: 20日<40日の時に、5日<10日とデッドクロスとなった時
5日>10日とゴールデンクロスになった場合には決済(中立)

他にもより多くの移動平均線を使う手法は存在しますが、基本的に上記の順序が揃っているかどうかという見方か、グループ分けして一方をフィルターとして考える味方のどちらかの見方をすると言って差し支えありません。

直近のレートに比重をおいた「移動平均線」は遅延が少ない

次に、移動平均線の計算方法です。前回示した単純移動平均が最もよく使われますが、他にも直近のレートによりウェイトをかけた加重移動平均線、指数平滑移動平均線といった移動平均線の計算方法がよく見られます。5日で単純移動平均と加重移動平均の計算方法を比べると以下のような違いがあります。

単純移動平均= (5日前終値+4日前終値+3日前終値+2日前終値+1日前終値)÷5M
加重移動平均= (5日前終値×1+4日前終値×2+3日前終値×3+2日前終値×4+1日前終値×5)÷15

直近のレートのウェイトを大きくすることで移動平均の計算で発生する遅延をなるべく少なくし追従性を良くしたいという発想で作られた計算方法です。他にも色々な計算方法がありますが、ここでは20日単純移動平均(MT4ではSimpleと表示)と20日加重移動平均(MT4ではLinear Weightedと表示)による違いをドル円日足チャートで示してみます。


加重移動平均線は値動きへの対応が素早い

赤い線が単純移動平均、青い線が加重移動平均で、後者の方が値動きに対する追従性が良いことがわかります。他にも移動平均線の計算方法には色々なものがありますが、どれも一長一短であり、必ずしも単純移動平均が劣っているというわけではないことは知っておきましょう。

始値と終値を取った移動平均線もFXで使える

そして、移動平均に使うレートです。通常は終値を計算に用いますが、MT4では終値(Close)以外に、始値(Open)、高値(High)、安値(Low)、中値(Median=HL/2)、ピボット(Typical=HLC/3)、終値加重ピボット(Weighted=HLCC/4)といったレートを使うことが出来ます。

仮に同じ期間の終値単純移動平均と始値単純移動平均を表示したらどのような効果が得られるでしょう。これはローソク足の陰線、陽線を平均したのと同じことですから、陽線が多ければ、終値移動平均線>始値移動平均線となりますし、陰線が多ければ終値移動平均線<始値移動平均線となります。つまり、終値移動平均線を短期移動平均線と読み替え、始値移動平均を長期移動平均と読み替えれば、終値移動平均線>始値移動平均線=ゴールデンクロス(買い)、終値移動平均線<始値移動平均線=デッドクロス(売り)という使い方が出来ます。

5日終値移動平均線を青、5日始値移動平均線を赤で表示したユーロ円日足チャートをご覧ください。


始値ベース、終値ベースの移動平均線をシグナルに

終値移動平均線と始値移動平均線の上下の転換がトレンドをよく捉えていることが見て取れるかと思います。

高値と安値の移動平均線でも比べてみる

高値移動平均と安値移動平均の組み合わせも見てみましょう。この組み合わせでは移動平均線どうしがクロスすることは無くローソク足の上下にバンドのように移動平均線が表示されるのが特徴です。次のチャートはユーロドル日足チャートに3日高値移動平均と3日安値移動平均を表示し、それを1日先行表示(MT4では表示移動に+で入力すると先行、−で入力すると遅行の表示が可能。今回はそれぞれに1を入力)させています。1日先行させる理由は最後のローソク足はライブレートですから、5分足のようなザラ場チャートではレートが変化すると移動平均線の値も変化してしまうためです。あえて1日先行表示させることで2日前から4日前のレートを使った移動平均が表示されますので、移動平均の値は変化しないことになります。


それぞれの移動平均線は、利食い損切りの目安に

この3日高値移動平均と3日安値移動平均をそれぞれ1日先行させたチャートはポジションを仕切るべきレートを知るのに便利です。画面右から5分の2あたりに位置する高値からユーロドルは下げていきますが、その間1日先行させた3日高値移動平均がレジスタンス相当としてワークします。

つまり、この3日高値移動平均を上抜いた場合に、売りポジションはいったん仕切るべきであり、それは画面右から5分の1あたりに位置する下ひげの長い陽線(矢印のローソク足)で発生していることがわかります。その時の高値移動平均は1.36408でした。この日1.36408は売りポジションのストップオーダーを置くべきレートと言うことです。なお、5分足のように短い時間枠のチャートでは、ザラ場ベースではなく、ローソク足の終値ベースで3期間高値移動平均と3期間安値移動平均を抜けた時としたほうが、ダマシに引っ掛かりにくいことを付記しておきます。

さて、今回は移動平均線の応用編でしたが、これでもまだまだ応用編の入り口に過ぎません。世の中には驚くほど多くの移動平均線がありますし、MT4ではテクニカル指標の移動平均を表示するといったことも可能です。前回、最初に試してみるのは移動平均線、研究を深めた人も移動平均線の考え方を取り入れる、と書いた通りで非常に奥の深い指標です。色々な移動平均線を試していくうちに、ひとつくらいは自分にとって使い勝手のいい移動平均線に出会うことが出来ると思います。

山中康司氏
山中康司氏
1982年アメリカ銀行入行、1989年バイスプレジテント、1993年プロプライエタリー・マネージャー。1997年日興証券入社、1999年日興シティ信託銀行為替資金部次長。2002年アセンダント社設立・取締役。テクニカル分析とアストロを組み合わせた独自の為替予測を行ない、各社にレポートを配信。セミナー講師やコンサルティング等もつとめている。

このページの先頭へ