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雇用統計は売り場を提供したか(2017年8月7日)

アセンダント社 山中康司先生による価格.comオリジナル為替週報!

2017年8月7日

FX取引に役に立つマーケット情報の今週の予想と前週のふりかえりをまとめて紹介しています。その他、当週報独自のドル円(日足)チャートや前週の主要通貨ペアレート(週間レンジ)も掲載。FX取引で予想をする参考にしてみてはいかがでしょうか。

今週の予想 -雇用統計は売り場を提供したか-

先週の週報では、先々週の材料として(1)FOMC、(2)ムニューシン財務長官発言、(3)北朝鮮ミサイル試射、(4)IMF報告書と4つの材料が円高の流れへと軌道修正させたと書きましたが、現状でも(1)FOMC以外には何ら変化はないと見ていますし、FOMCについても市場参加者が雇用統計を見て過剰に反応したというのが現在のスタンスです。

まず雇用統計ですが、注目度の高いNFPのみならず失業率は最低水準に並び、平均時給も上昇が伸びと明確に雇用が逼迫している状況を示しました。FRBが考えている完全雇用の状態をも大きく上回る強い数字であったと言えます。しかし、あくまでも単月の数字で持ってFOMCメンバーが一喜一憂するわけもなく、イエレン議長は慎重かつ物価の上昇も参考にし、その上で年内もう1回の利上げを行う予定であることは変わっていません。

また、慎重でありながらもバランスシートの縮小について秋以降に議論を行うと言っているわけですから、議長会見を伴う9月FOMCにおいて今後のバランスシート縮小の道筋を示し、12月FOMCにおいて今年3回目の利上げを行うと考えることが、イエレン議長をはじめとするFOMCメンバーの意図を正しく解釈することだと言って間違いありません。ちなみにCMEのFF先物における12月利上げ織り込み度自体には変化は出ていませんでした。

さて、今週ですが米国雇用統計も過ぎ、各国経済指標も中休みといった感じで重要度の高いものは少なめです。雇用統計直後のFOMCメンバーの講演が本日月曜と金曜にありますので、市場参加者の振れを見るという点では、彼らの発言自体の注目度は高いのですが、FOMCの方向性自体には何ら影響を与えないものであると考えられます。

米国の政治面では、金曜にNEC委員長から税制改革について進展が見られる発言がありましたが、税制改革とて元々トランプ大統領の公約のひとつです。株式市場の反応もいまひとつでしたし、いまだ何も実現していない公約の停滞具合や、ひょっとしたらの可能性もあるロシアゲート問題など、引き続き米国の政治にしても、外部要因にしても積極的にドルを買う材料は見当たらないと考えられます。

次にチャートをご覧ください。今回からローソク足をモノクロにし自動トレンドラインを削除したことでベースとなるチャートは見やすくなったと思います。ローソク足の陰陽はあくまでも平均足の陰陽であることはご注意下さい。

まず、直近の動きは7月高値114.49と26日の戻り高値とを結んだレジスタンスラインに対して平行に引いたラインとで構成される下降チャンネルの中での推移を雇用統計前まで続けていたことは異論のないところでしょう。現在はその下降チャンネルを上抜けした状態ですが、この上抜けも決して強いものとは言えません。ここまでの動きを値幅観測で見ると以下のとおりです。

6月安値109.59から7月高値114.49までの上げに対して、押しの限界点である78.6%(61.8%の平方根)押しの110.04レベルがありましたが、8月4日安値109.85はほぼ同水準で下げ止まったと言えます(青のターゲット)。すると、現状は戻りのターゲットを求めることとなりますが、114.49から109.85までの下げに対する38.2%戻しが111.62であり、現在のドル安トレンドが強力な場合には同水準で上値を抑えられやすいと考えられます(赤のターゲット)。

また、上記のドル安トレンドが強い前提で、近視眼的に7月26日高値112.19から109.85までの戻しを考えると、戻しの限界点となる78.6%戻しが111.69とほぼ上記水準と重なることとなり(薄い青のターゲット)、111円台半ばから後半にかけては売りが重なりやすく、引き続きドル安の流れを継続しやすいと考えることが妥当です。

結論として、今週は109.90レベルをサポートに、111.70レベルをレジスタンスとする週を見ておくこととします。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
8月7日(月)
15:00 ドイツ6月鉱工業生産
23:00 米国7月労働市場情勢指数
24:45 (セントルイス連銀総裁講演)
26:25 ミネアポリス連銀総裁講演
8月8日(火)
08:50 本邦6月国際収支(貿易収支)
10:30 豪州7月NAB企業景況感
**:** 中国7月貿易収支
**:** 南アズマ大統領不信任投票
8月9日(水)
**:** シンガポール市場休場
10:30 中国7月CPI、PPI
21:30 米国4〜6月期単位労働コスト速報値
23:00 米国6月卸売売上・卸売在庫
23:30 米国週間原油在庫
8月10日(木)
06:00 NZ中銀政策金利発表
17:30 英国6月鉱工業生産
17:30 英国6月貿易収支
20:00 南ア6月製造業生産
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国7月PPI
23:00 NY連銀総裁講演
8月11日(金)
**:** 東京市場休場
08:30 豪中銀総裁議会証言
15:00 ドイツ7月CPI確報値
21:30 米国7月CPI
22:40 ダラス連銀総裁講演
24:30 ミネアポリス連銀総裁講演

前週の主要レート(週間レンジ)

始値 高値 安値 終値
ドル円 110.51 111.05 109.85 110.68
ユーロ円 129.85 131.40 129.55 130.30
ユーロドル 1.1747 1.1910 1.1723 1.1773
日経平均 19933.45 20113.73 19891.90 19952.33

前週のふりかえり

  • ・7月31日(月) ドル安の月末、主役はユーロドルでした。LDNフィキシングで実需が出たことからユーロドルは直近高値を上抜け、高値1.1846レベルと2015年1月以来の高値をつけ高値引けとなりました。ドル円はユーロドルに引っ張られる一日でしたが、朝方は円高が先行したもののすぐに買い戻しも出て110.72レベルまで戻しました。その後はユーロ急騰の動きとともに安値110.22レベルへと下押し、こちらもドル安値圏での引けとなりました。ホワイトハウスで広報部長がわずか10日で解任されるという話もドルの上値を重くしました。
  • ・8月1日(火)動意の少ない月初となりましたが、ドル円はNYの流れを受け朝方に大台110.00をワンタッチ、大きめの買いオーダーに阻まれてその後は底堅い株価とともに買い戻しが目立ちました。NY朝方には110.59レベルまで回復していたものの弱い経済指標に反応し再びドル売りの動きとなり、米金利の低下とユーロ円の売りが重なってドル円は109.93レベルと大台を割り込む動きとなりました。引けにかけては東京前場の水準へと戻して引けています。
  • ・8月2日(水)東京市場では株価とともに底堅い値動きからスタートしたドル円でしたが、ユーロ円がこれまで数え切れないほどトライして抜けきれなかった130.60レベルをランチタイムに上抜けると、ストップオーダーや新規の買いも乗っかってユーロ円は一気に131円台乗せ、ドル円、ユーロドルも買われる動きとなりました。その後、NY市場までは様子見気分が濃厚でしたが、NY朝方に米金利上昇に沿ってドル円は一時110.98レベルの高値をつけたものの、その後は金利下落に沿って110.28レベルまで下落後に、半ばへ戻しての引けとなりました。
  • ・8月3日(木)東京市場では、前日高値をつけたユーロ円が上値の重たい株価ともに利食いの売りが出た程度で、動意薄のまま海外市場に入りました。英中銀MPCでは利上げ賛成派が2人へと減少したことからポンドが急落、総裁が経済減速の可能性と金融政策への影響にも言及したことから急速に英国の利上げ思惑が後退することとなりました。その後のNY市場ではロシアゲート問題について起訴するかどうかを決める大陪審の設置がされるとの話からドル売りとなり、ドル円は109.86レベルの安値を付け上値の重たいまま引けました。
  • ・8月4日(金)米国雇用統計を前にしてNY市場まではドルの上値がやや重たい程度で動意薄の展開が続きました。注目の雇用統計は、NFPが+20.9万人と強いだけでなく、失業率が4.3%と5月に並ぶ最低水準かつ平均時給も+0.3%と強い数字。これらの予想以上に強い雇用統計の結果を受け、ドル円は111.05レベルまでドル買いが強まり、多通貨でもドル全面高となりユーロドルは1.1727レベルまで水準を下げました。また、発表直後は株高、金利高で反応したものの、NYダウは金利高と高値警戒感もあり直後に水準を下げ、引けにかけては足踏み状態での引けとなりました。

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

ドル円(日足)チャート

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FX週報の注意

・前週主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。10年債先物(JGB)は大証の公表値。
・その他
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