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各国中銀総裁発言に注意しつつも円高基調(2017年11月13日)

アセンダント社 山中康司先生による価格.comオリジナル為替週報!

2017年11月13日

FX取引に役に立つマーケット情報の今週の予想と前週のふりかえりをまとめて紹介しています。その他、当週報独自のドル円(日足)チャートや前週の主要通貨ペアレート(週間レンジ)も掲載。FX取引で予想をする参考にしてみてはいかがでしょうか。

今週の予想 -各国中銀総裁発言に注意しつつも円高基調-

先週は月曜前場こそ強い株価にも支えられ、一時114.73レベルと前週高値を超えるリスクオン相場のスタートを切りました。しかし日米首脳会談を前に財界人との会合では米国の対日貿易赤字に対する不満を明言し、同日午後の首脳会談でも日米間の不均衡がテーマとなったことからドルの上値を重たくすることとなりました。

前週の雇用統計の翌営業日高値となったことから今回も雇用統計前後にドルが高値をつけるアノマリーがトランプ大統領来日をきっかけに繰り返されることとなりました。その後の値動きも上値が重く、日経平均株価は木曜に高値23382.15から860円もの急落となり、チャートの形も高値圏での反落を示す弱気なパターンを示し、当面は株価も調整局面入りの展開を予想させます。また米国では、税制改革が上院法案で1年後退する可能性も含め、今後の審議が難航しそうな状態となっています。テクニカルにも材料的にも短期的にはドルの上値が重たい流れが継続しやすいでしょう。

今週は週前半にBIS総裁会議があり、14日にはイエレンFRB議長、ドラギECB総裁、カーニー英中銀総裁、黒田日銀総裁と主要中銀総裁による討論会が予定されています。それぞれFRBは議長の交代、ECBは来年からテーパリング、英中銀は利上げと大規模緩和を継続する日銀を除いてどのような発言が出て来るのかが注目されます。

今週は、他にも各国中銀総裁や米国の地区連銀総裁の講演が連日続きますので、今後の金融政策の展開を探るためにも重要な一週間ですが、ある程度市場参加者の年末年始に向けてのコンセンサスは固まっていると考えられますので、今週は日米首脳会談後のAPECとASEANの首脳会議(トランプ大統領、安倍首相ともに出席)を経て、日米間の不均衡問題がどのように話が進んでいくか、また株価とドル円のテクニカルな動き、これら2つが材料になってくると考えられます。

まず前者の日米間の不均衡問題ですが、トランプ大統領就任前から米国の貿易赤字国として、中国、日本、ドイツの3つの国は名指しで非難されていました。また、ホワイトハウスの閣僚でもムニューシン財務長官が通商問題について触れたり、ロス商務長官も不均衡問題の解消に触れたりと、現在のトランプ政権において主要テーマのひとつであることには何ら変化はありません。

これまでは、税制改革と予算を固めるところに重点が置かれていたため、いったん目立たないテーマとなっていましたが、先月の財務省為替報告書でも当然のように上記3カ国は監視リストに名を連ねています。年初に同テーマで賑やかだったころの為替の水準が118円台から115円台にあったことを考えると、逆に115円よりも円安水準は警戒する必要があるとも考えられます。

ここで日足チャートをご覧ください。

今回はやや長めに年始からの動きを全て入れてありますが、2本の水平線を引いてあります。細い水平線が114.50、太い水平線が3月の戻り高値115.50です。つまり、115円の大台を挟んで上下50銭に水平線が引いてあることになります。 これまでは、114.50が強いレジスタンスとして意識されてきましたが、先週はこのレジスタンスを一時的とは言え上抜けし、次のレジスタンスとしては3月の戻り高値があげられます。しかし、年初の118円台からの下げの後しばらくはもみあいとなっていたところ、9月に安値を付けてからの反発は日経平均の上昇も手伝って強いものがあります。

このまま円安の流れが続き、115.50をも抜ける展開となると円安の流れが加速する可能性が高く、テクニカル重視派にとってはかなり警戒感の強い水準が先週であったと思います。しかし、トランプ大統領来日、株価の下げ、米国税制改革への懸念とドル売り材料が増えてきたことから、多少のバッファーを考えても115円前後の水準は抜けないのではないかという地合いへと転じてきました。

直近のところでも先週高値からは着実に高値、安値ともに切り下げる展開になっていることからリスクオフの繋がる新たな材料が出てくればもちろん、無くても先週初からの円高傾向を継続しやすいということがテクニカルな観点からの見方と言えます。今週前半はトランプ大統領のアジア歴訪に合わせて日米間の合同演習も行われているため、こちらもややテーマから退いている北朝鮮問題も注意が必要です。

全体として中期的にも短期的にもドル安円高材料が多い週と考え、今週は112.30レベルをサポートに、114.30レベルをレジスタンスと、引き続き下方向に余裕のあるレンジを見ておこうと思います。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
11月13日(月)
09:10 フィラデルフィア連銀総裁講演
18:00 コンスタンシオECB副総裁講演
26:45 黒田日銀総裁講演
11月14日(火)
09:30 豪州10月NAB企業景況感
11:00 中国10月小売売上高、鉱工業生産
16:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値
16:00 ドイツ10月CPI
17:05 シカゴ連銀総裁講演
18:00 イタリア7〜9月期GDP速報値
18:30 英国10月CPI、PPI
19:00 イエレンFRB議長、ドラギECB総裁、カーニー英中銀総裁、黒田日銀総裁、討論会(BIS総裁会議)
19:00 ドイツ11月ZEW景気期待指数
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏9月鉱工業生産
19:00 ギリシャ7〜9月期GDP速報値
21:45 フランス中銀総裁講演
22:15 (セントルイス連銀総裁講演)
22:30 クーレECB理事講演
22:30 米国10月PPI
27:05 (アトランタ連銀総裁講演)
11月15日(水)
08:50 本邦7〜9月期GDP速報値
16:00 トルコ8月失業率
16:00 アイルランド中銀総裁講演
16:45 フランス10月CPI
17:00 シカゴ連銀総裁講演
18:30 英国10月失業率
19:00 プラートECB理事講演
19:00 ユーロ圏9月貿易収支
20:00 南ア9月小売売上高
22:30 米国11月NY連銀製造業景況指数
22:30 米国10月CPI、小売売上高
24:00 米国9月企業在庫
24:30 米国週間原油在庫
11月16日(木)
09:30 豪州10月失業率
18:30 英国10月小売売上高
19:00 ユーロ圏10月CPI確報値
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国11月フィラデルフィア連銀製造業指数
22:30 米国10月輸入物価指数
23:00 カーニー英中銀総裁講演
23:10 (クリーブランド連銀総裁講演)
23:15 米国10月鉱工業生産、設備稼働率
23:30 フランス中銀総裁講演
24:00 米国11月NAHB住宅市場指数
27:10 ダラス連銀総裁講演
29:00 コンスタンシオECB副総裁講演
29:45 ブレイナードFRB理事講演
30:30 NZ10月企業景況感
30:45 NZ7〜9月期PPI
30:45 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
11月17日(金)
17:30 ドラギECB総裁講演
18:00 ユーロ圏9月経常収支
22:00 ドイツ連銀総裁講演
22:30 米国10月住宅着工・建設許可件数

前週の主要レート(週間レンジ)

始値 高値 安値 終値
ドル円 114.17 114.73 113.09 113.54
ユーロ円 132.61 133.12 131.00 132.44
ユーロドル 1.1616 1.1678 1.1553 1.1664
日経平均 22612.96 23382.15 22435.34 22681.42

前週のふりかえり

  • ・11月6日(月) 週明けの東京市場では仲値買いと金曜雇用統計高値を抜けた動きから一時114.73レベルまで円安が進行しました。しかし、日米首脳会談を前に警戒感があったところに、トランプ大統領の財界人との会合で米国の対日赤字に焦点を当てた発言が出たことから反落。午後の日米首脳会談でも不均衡問題がテーマの一つとなり、最近では影を潜めていた通商問題が再び目立つ流れとなってきました。海外市場に移ってからもドル円はじりじりと円高水準へと動きNY市場では税制改革法案の審議が難航しそうとの見通しも出て、113.70レベルまで下押し後にドル安値圏での引けとなりました。
  • ・11月7日(火)東京市場のドル円は、前日にドルが下押しした反動もあったのか朝方から買い一色、株価がリードしてのリスクオン相場となりました。日経平均株価は23,000円に迫る25年ぶりの高値をつけ、欧州市場序盤までは米金利高も手伝ってドル円は一時114.34レベルの高値をつけました。しかし、前日の不均衡問題の話は今後中長期的な円高懸念の材料でもあり、月曜早朝高値を試しに行くほどの勢いも見られませんでした。その後、NY市場に入ってからは夜間取引で強かったダウ先物が一転下落に転じ、現物にも売りが見られたことからドル売りの流れとなり、ドル円は朝方の水準へと行って来いの一日となりました。
  • ・11月8日(水)東京市場のドル円は114円台での上値の重さを感じさせながらも方向感のはっきりしない展開が続きましたが、海外市場に入り米国共和党上層部から税制改革が2019年に延期という話が出たことをきっかけにドル売りの動きとなりました。ドル円はNY市場が始まる頃には113.40レベルまで水準を下げましたが、113円台半ばから前半はこれまで何度もトライして抜けきれない水準。NY後場に入り予定通り法案を出すとの逆の話から完全に行って来いとなり、東京朝方の水準に戻しての引けとなりました。
  • ・11月9日(木)東京市場のドル円は、前場は日経平均の大幅高に引っ張られて買いが先行したものの114円台では売りも出て上値の重たい流れとなっていました。後場に入り日経平均株価が高値から860円ほどの急落となり、その動きからドル円も円高に振れる展開となり、海外市場に移ってからも売り基調。NY市場では上院から税制改革法案が提出されたものの2019年へ先送りする案が含まれていたことからNYダウが急落、ドル円も一時113.09レベルと東京前場の高値から1円近い円高となりました。引けにかけてはダウが安値から値を戻す動きとなり、ドル円も113円台半ばへ戻して引けました。
  • ・11月10日(金)ドル円は総じて小動きの週末相場となり、東京市場では実需の買いと上値の重たい株価に挟まれての小動き。NY市場に入ってからは朝方の弱い経済指標発表後に多少下押しする場面も見られましたが引けにかけては買い戻しも入り、動意の無いままの週末クローズとなりました。

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

ドル円(日足)チャート

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FX週報の注意

・前週主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。10年債先物(JGB)は大証の公表値。
・その他
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