2018年2月19日掲載
入門ガイド
FXの長期投資(ポジショントレード)の基本と注意点

FXの長期投資(ポジショントレード)は、数週間から数か月あるいは数年単位で外貨資産を保有する取引手法です。2つの通貨の金利差から生じるFXの利子のようなお金であるスワップポイントを受け取りながら、大きく利益が出せるタイミングを待つのが基本です。ここでは長期投資のトレードで失敗しないよう、通貨ペアの選び方や取引のコツ、気を付けておきたいポイントなどを紹介します。
長期投資(ポジショントレード)の基本と通貨ペア
長期投資(ポジショントレード)とは?
FXの長期投資(ポジショントレード)とは、新規で外貨を売買して数週間から数か月、長いときでは数年単位で外貨資産を維持(ポジション)する取引手法です。1回の取引で米ドル/円ではおよそ1〜10円に当たる100〜1,000pips程度の利益を狙います。さらに為替の売買益だけでなく金利差から得られる利益(スワップポイント)も重視します。
通貨ペアの選び方
FXの長期投資では、通貨ペアを選ぶ際「取引がしやすい」「スワップポイントがたくさん受け取れる」という2点が重要です。ただし取引のしやすさとスワップポイントのどちらを重視するかで、選ぶ通貨ペアは変わります。
取引のしやすさを重視するなら米ドル/円
2016年4月の国際決済銀行(BIS)の調査によると、米ドル/円は米ドル/ユーロに次ぐ世界第2位の取引量があり、24時間世界中で活発に取引されています。こうした取引量の多い通貨ペアは、FXのコストである買値と売値の差(スプレッド)が小さく、注文した価格と約定価格の価格差(スリッページ)が起こりにくいため取引がしやすいです。また、スワップポイントも1万通貨当たり1日48円(2018年1月15日現在)受け取れます。
最も取引量の多い米ドル/ユーロは、ユーロという通貨の性質上、ドイツ、フランス、スペインなど多くのユーロ導入国の状況によって価値が上下するため、トレードの初心者なら米ドル/円がよいでしょう。
スワップポイントを重視するなら高金利国通貨と円の通貨ペア
トルコリラ/円は2018年1月15日現在で1トルコリラ=29円08銭(終値)です。1万通貨買うとおよそ29万円の証拠金で1日80円のスワップポイントが受け取れます。米ドル/円はおよそ110万円の証拠金で1日48円なので、トルコリラのスワップポイントは約6.3倍です。ただし高金利国通貨の場合、通貨のインフレ率が高かったり貿易赤字が大きく国の信用リスクが伴ったりして通貨自体の価値が下がってしまうリスクがあるため注意が必要です。
長期投資取引はトレンドとスワップポイントで稼ぐ
トレンドに乗って稼ぐ
長期間の為替のトレンドを見極めてポジションすることで大きくもうけを増やしていきます。

上図は2000年から2017年までの米ドル/円の終値の推移を示しています。過去の傾向としては、数年に一度、トレンドを形成するような大きなできごとがありました。2001年にはITバブルの崩壊、2007年にはアメリカの住宅バブルの崩壊、2012年からはアベノミクス政策によってトレンドが作られています。
たとえば、2007年の住宅バブル崩壊をきっかけに徐々にドル安方向に進み始めました。2008年には不動産価格の低下により、住宅を担保として低所得者層にお金を貸し付けるサブプライムローンが不良債権化したことからリーマンショックが起こり、大きなドル安のトレンドが形成されました。
ドル高トレンドを形成した例としては、2012年12月に発足した安倍晋三内閣の下、2018年1月現在も継続実施されているアベノミクス政策です。大胆な金融緩和や機動的な財政出動の結果、2012年の終値で1ドル=86.74円であったドル円相場は2018年1月15日現在1ドル=110円52銭(終値)までドル高になりました。
このように大きな為替のトレンドを見極めることができれば、長期投資で利益を出せます。トレンドを見極めるために、経済や政治のニュースに関心を持ち、日々情報収集を欠かさないようにしましょう。経済の流れが見えてくるようになると、長期投資で勝ちやすくなるでしょう。
スワップポイントで稼ぐ
スワップポイントとは2つの通貨の金利差から生じるFXの利子のようなもので、受け取る場合もあれば支払う場合もあります。スワップポイントを受け取るためには、低金利国の通貨である円などを売り高金利国の通貨を買う必要があります。
通貨ペア | 単位 | 必要証拠金 (2018年1月15日時点) |
スワップポイント | ||
---|---|---|---|---|---|
1日当たり | 1か月当たり | 1年当たり | |||
南アフリカランド/円 | 10万通貨 | 899,970円 | 140円 | 4,340円 | 51,100円 |
トルコリラ/円 | 3万通貨 | 872,580円 | 240円 | 7,440円 | 87,600円 |
ニュージーランドドル/円 | 1万通貨 | 806,780円 | 40円 | 1,240円 | 14,600円 |
米ドル/円 | 1万通貨 | 1,105,270円 | 48円 | 1,488円 | 17,520円 |
オーストラリアドル/円 | 1万通貨 | 880,270円 | 46円 | 1,426円 | 16,790円 |
スワップポイント・必要証拠金は、変動しています。上表はGMOクリック証券の2018年1月15日の為替水準、スワップポイントに基づいて計算しています。たとえば、GMOクリック証券で円を売って南アフリカランドを10万通貨買うと、1日当たり140円のスワップポイントが受け取れます。南アフリカランドは1通貨が8.29円のため、10万通貨買うとおよそ83万円が必要になります。
長期投資は損切りとレバレッジに注意
すぐに損切りしない
FXにおいて損切りは重要ですが、長期投資ではすぐ損切りしないようにしましょう。スワップポイントを毎日受け取りながら、大きく利益が出せるタイミングを待つのが重要です。
レバレッジは高くし過ぎない
含み損がFX会社の定める一定の割合に達すると強制ロスカットといって自動的に決済されてしまいます。強制ロスカットされるとスワップポイントが受け取れなくなるだけでなく、証拠金を大きく減らすことになります。
レバレッジを高く設定していると、利益も大きくなる一方損失も大きくなるため、強制ロスカットされやすくなってしまいます。そのためレバレッジを高くし過ぎないようにしましょう。
スワップポイントの高いFX会社
長期投資でFX取引するならスワップポイントの高さに注目して会社を選びましょう。スワップポイントは同じ通貨ペアであってもFX会社によって違います。
1万通貨当たりのスワップポイント比較
米ドル/円 (1日) |
米ドル/円 (1年間) |
豪ドル/円 (1日) |
豪ドル/円 (1年間) |
|
---|---|---|---|---|
SBIFXトレード | 50円 | 18,250円 | 47円 | 17,155円 |
外貨ex | 50円 | 18,250円 | 48円 | 17,520円 |
FXネオ | 48円 | 17,520円 | 48円 | 17,520円 |
FXブロードネット | 40円 | 14,600円 | 33円 | 12,045円 |
LION FX | 6円 | 2,190円 | 50円 | 18,250円 |
※スワップポイントは変動します。図表は2018年1月16日の基準で計算。
上図は主要なFX会社の米ドル/円(1万通貨当たり)と豪ドル/円で、どれだけスワップポイントが受け取れるかを示した比較表です。これをみると、FX会社によってもらえるスワップポイントの大きさに幅があるのがわかります。仮に米ドル/円の場合、50円のスワップポイントを1年間受け取り続けると18,250円になりますが、6円なら1年間で2,190円にしかなりません。
米ドル/円だけをみるとLION FXのスワップポイントが極端に低く不利なようにみえますが、豪ドル/円では一番高く、通貨ペアが変わると有利不利も変わります。
複数の通貨ペアで取引するなら、通貨ごとにFX会社を使い分けたほうがより多くのスワップポイントを受け取れるでしょう。価格.comでは、スワップポイントでFX口座を比較できます。ぜひ、口座選びの参考にしてください。
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