2017年8月1日掲載
入門ガイド
FX税金ガイド!税率や確定申告の書き方を解説

FX投資で得た利益には株取引などと同じように20.315%の税金がかかりますが、株取引などと違い、納税方法は確定申告しか選べません。しかし、確定申告だからこそのメリットもたくさんあります。ここでは、FXの税金の仕組みや、知っていると便利な節税対策などについてお伝えします。
20.315%の税金がかかる
2017年5月時点では、受け取った利益に対して20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の税金がかかります。一般的に、FX投資で得た利益は、買ったドルを売るなど、決済した時点で課税対象になります。しかし一部のFX会社では、スワップポイントについては未決済でも税金の支払い対象になる場合があります。
税金の対象となるのは?
FXで得た利益は、利益に応じた分だけ、税金を支払います。税金の支払い対象となるFXの利益とは以下の2つです。
為替差益
為替差益とは、為替相場が動くことで得られる利益です。1ドル=100円のときに1万通貨(1万ドル=100万円)分購入し、1ドル=110円まで円安・ドル高が進んだタイミングで1万通貨すべて売却すると、10万円が利益となります。
スワップポイント
スワップポイントは、金利収入です。新興国など、高金利国の通貨を買っていれば、毎日、一定の金額を受け取ることができます。買っている通貨によってスワップポイントは違い、日々変動もしますが、1日あたり数十円程度が多いようです(2017年5月時点)。高金利通貨を売っている場合は、逆に支払います。
為替差益、スワップポイントともに投資で得た収入ですので、株取引などと同様、税金の対象になります。
FXの利益は確定申告が必要!
FXでの為替差益、スワップポイントは、翌年の2月中旬から3月中旬にかけて、確定申告したうえで納税しなければいけません。株や投資信託の売買では、源泉徴収ありの特定口座を利用することで証券会社が代わりに納税してくれますが、FXではそういった仕組みがありません。
ただし、FX投資で得た利益でも、確定申告による納税が必要ない場合もあります。
- 確定申告が必要ない場合
-
- サラリーマンなどで給与所得以外の所得がなく、FXの利益が年間20万円以内の場合
- 専業主婦や無職の方で所得が38万円以内の場合
確定申告の必要書類
確定申告は、1年間(1月1日〜12月31日)で得た所得に対する税金額を税務署に申告するものです。サラリーマンがFXの利益を確定申告する場合は、一般的に、以下の書類が必要になります。
- 給与所得の源泉徴収票
- 確定申告書B
- 申告書第三表(分離課税用)
- 先物取引に係る雑所得などの金額の計算明細書
- FX会社から受け取る取引報告書
- 経費がわかる領収書など
確定申告の書き方
FX会社から受け取る取引報告書や源泉徴収票などをもとに確定申告書B、申告書第三表、計算明細書に必要事項を記入し、資料を添付したうえで、確定申告の時期に税務署に提出します。主な書類の記入例を記載します。
- 先物取引に係る雑所得などの金額の計算明細書
-
- まず「雑所得用」を○で囲む
- 決済の方法欄に「仕切」と書く
- 総収入金額1に、FX会社から受け取る年間取引報告書に記載されている「売買損益額」の合計額を記入する
- その他の収入3に、年間取引報告書記載の「スワップポイント」の合計額を記入する
- 手数料があれば、5に記入する
- FX会社のセミナーや書籍の購入など、経費があれば7〜9に記入する
- 11、12に、計算式に従って計算した金額を記入する

- 申告書第三表(分離課税用)
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- 収入金額の「ト」欄に、「先物取引に係る雑所得などの金額の計算明細書」の4金額を記入する
- 所得金額の67先物取引欄に、「先物取引に係る雑所得などの金額の計算明細書」の11の金額を記入する
- 67先物取引欄の金額を75の67対応分欄に記入する

上記はFX投資に関係する金額だけですが、ほかに給与所得額や生命保険料の控除額なども記入する必要があります。
節税方法は?
FXで利益を得ると税金を支払いますが、確定申告の仕組みをきちんと理解していれば、節税することもできます。FXで余分な税金を支払わない方法は、以下の3通りです。
損失の繰り越し控除
FXで利益が出れば税金を支払いますが、損が出るとどうなるのでしょう? その場合は、翌年以降の利益と相殺して、課税対象となる利益額を少なくできます。これを「損失の繰り越し控除」といいます。
ほかの金融商品に投資していないという前提で、2015年にFXで50万円損して、16年に30万円の利益があったケースを考えてみましょう。15年は収支がマイナスのため、確定申告は必要ありません。しかし、マイナスでもきちんと確定申告することで、15年のマイナス分と16年のプラス分を相殺し、16年の収支をマイナス20万円として確定申告できます。
マイナスであれば当然、税金の支払い義務はないため、16年の利益30万円に対する約6万円分の税金を支払わなくて済むということです。
損失の繰り越し控除の仕組み

損失が大きすぎて翌年の利益で控除しきれない場合は、次の年の利益とも相殺できます。控除できる期間は、マイナスとなった翌年から最大3年間です。この仕組みを使うためには、収支がマイナスだった年でも、面倒がらずにきちんと確定申告しなければいけません。
ほかの金融商品、FX口座との損益通算
FXによる利益は「先物取引に係る雑所得等」として扱われます。同じ所得区分であれば、確定申告の際は、ひとまとめにして収支を計算できます。FXと同じ所得とみなされるのは、主に以下の金融商品です。
- TOPIX先物など株価指数先物
- 金や原油など商品先物
- CFD(差金決済取引)
もちろん、複数のFX業者で口座を開設して売買している場合は、確定申告の際にそれらをとりまとめて確定申告できます。

経費の計上
FXで節税する場合、経費を計上するという方法もあります。確定申告に必要な「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」に経費を記載する項目があります。「FXで経費?」と思われるかもしれませんが、経費には、参加したFXセミナーの参加費用、FXの勉強のために購入した書籍代などが該当し、かかった費用を利益から差し引くことで、節税できます。
お得な豆知識
損失の繰り越し控除や損益通算は、FXやほかの金融商品の売買で損が出たときに初めて節税効果が生まれます。しかし、「ふるさと納税」の仕組みを使えば、損をせずにFXなどで利益を上げ続けている場合でも節税できます。
控除できる金額は本人の収入などによって決まっています。一般的に収入が多いほど控除できる金額が大きくなり、お礼の品の選択肢も広がります。確定申告をすればFXでの利益もふるさと納税による税金控除の対象となります。簡単にいうと、「FXでたくさん利益を得るほど、ふるさと納税を使って税金を控除できる金額が大きくなり、選べるお礼の品も増える」というわけです。
FXの税金に関するQ&A
- Q 違うFX会社の口座同士で損益通算できますか?
- Aできます。複数のFX口座を使い分けている場合は、それぞれの口座での損益を足しあげ、最終的な利益が出ていた場合に税金を支払います。
- Q FXと株式投資の損益通算はできますか?
- Aできません。FXと株式投資は所得区分が違うため、それぞれ分けて収支を計算する必要があります。FXと損益通算できるのは、あくまでFXと同じ「先物取引に係る雑所得等」にあたる株価指数先物や商品先物、CFDなどです。
- Q 確定申告にマイナンバーは必要ですか?
- A現状では、必ずしもマイナンバーが記載されていなくても確定申告書が受理されているようですが、今後は必須になっていくでしょう。マイナンバーの記載がない場合は、確定申告を提出した後、税務署から問い合わせがある場合があります。
- Q 確定申告しないとどうなりますか?
- A年間で20万円を超える利益があるにもかかわらず確定申告しなかった場合は、脱税とみなされ、税務調査の対象となりえます。FXの年間の損益状況はFX会社から税務署に通知されるため、税務署もしっかり把握しています。20万円超の利益がある場合には、必ず確定申告しましょう。
- 20万円を超えない範囲では確定申告は必要ありませんが、そのかわり、損失の繰り越し控除が適用されなくなりますので、注意してください。
まとめ
FXで得た利益は、サラリーマンの場合は20万円、専業主婦の場合は38万円を超えると、確定申告したうえで利益の約20%分を納税しなければいけません。確定申告は手間ですが、確定申告することで、損失を翌年以降に繰り越せる「繰り越し控除」が使えるなど、節税メリットも享受できます。税金を無駄に支払いすぎてしまわないよう、ぜひ賢い節税術を身に付け、FX投資を楽しんでください。
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