- 取材協力 川合 美智子(かわい・みちこ)
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旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)在勤の1980年より若林栄四の下で罫線分析を研究、習熟する。同行でカスタマー・ディーラーとして活躍した後、1989年より在日外銀でカスタマー・ディーラーとして、また、外国為替ストラテジストとして抜群の人気を博す。罫線分析を基にした為替相場コメントには定評がある。現在、(株)ワカバヤシ エフエックス アソシエイツの代表取締役 兼 外国為替ストラテジスト。
第4章FXの取引コスト
主要なコスト、スプレッドとは?
現在、FXの取引手数料は無料である会社がほとんどです。FXの取引でかかる主要なコストといえば「スプレッド」と呼ばれるものがあります。スプレッドとは何なのでしょうか?
「市場には通貨の、買い手と売り手が存在しており、買い値と売り値を提供しています。このように買値と売値の間にある値の差を、『スプレッド』と呼びます」(川合さん)
たとえば、新聞やテレビなどで表示されている為替レートを見るとわかるように「110・10―110・15」といったように、為替レートには売りと買いの2つの数字が表示されています。
仮にこれが米ドル/円の為替レートだったとすると、110円10銭は売り手にとってのレート。110円15銭が買い手のレートに当たります。この場合、ユーザーは110円15銭を出せば1米ドルを買うことができ、1米ドルを売れば110円10銭がもらえます
そして、この両者の値の間にあるこの5銭の価格差が、「スプレッド」に当たります。スプレッドはFX会社の収益源であり、また、証拠金会社に相場を提示している金融機関にとっては瞬時の市場変動に伴うリスク料でもあります。
スプレッドの目安ですが、米ドル/円の場合0.2銭〜2銭程度に設定されていることが多いです。1万通貨の取引ならば、1回の売買で30円〜200円程度かかる計算になります。ユーロ/円ならば0.6銭〜3銭なので、1万通貨の1回の売買で60円〜300円程度、英ポンド/円ならば、1銭〜5銭程度なので1万通貨1回の売買で100〜500円程度のコストがかかる計算になります。
スプレッドは刻々と変化する?!
「注意したいのが、このスプレッドはマーケットの市況に合わせて、刻々と変化していくという点です。スプレッドは為替レートが大きく上下するときほど、広がりやすいものです。なぜなら、値動きが上下すればするほど、同じレートで仲介をおこなえないリスクが高まるため、スプレッドが開いていき、瞬間的なコストが発生しやすくなるためです。ちなみに、このスプレッドが広がるということは市場の値動きが荒いことを示しています」(川合さん)
例えば、何か大きな政策が発表された前後や、アメリカの失業率など景気を左右する指標が発表になったときには値動きが大きく、スプレッドは広くなりやすくなっています。
そんな状況下においては「投資家にとっては投資コストがかかってしまうわけなので、スプレッドが広がっているときは、FX初心者はあまり焦って取引をするよりは、取引はいったん停止して様子を見るといいかもしれません」と川合さんは話します。
また、当然ながら、通貨によっても、スプレッドの値は変わっていきます。
「トルコリラ/円や英ポンド/円、豪ドル/円など、マーケット内で米ドル/円よりも流動性が若干低いものは、それだけリスクが大きいため、スプレッドは広く設定されていく傾向があります。そのため、これらの通貨を取引するときは、瞬間的な含み損が出やすくなることも忘れないようにしましょう」(川合さん)
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